会社スマホに位置情報アプリを入れて、従業員を管理できるか

2015.11.12

1 位置情報アプリによる労務管理

 外回りの営業マンなど労働時間の管理が難しい職種について、会社からスマホを貸与して、そのスマホに位置情報アプリを入れることがあります。
これは、スマホが会社所有であり会社の管理権が及んでいることからすると、位置情報アプリを入れて労務管理をすることが直ちに違法になるわけではありません。
もちろん、就業規則に位置情報アプリにより労務管理することがあることや位置情報アプリにより勤務時間中に業務に従事してなかったこと(映画館で映画を見るなど)が判明した場合に懲戒処分の対象になることを明記するほうが、裁判などで必要性が肯定されやすいといえます。

2 位置情報アプリの労務管理が違法となる場合

 しかし、会社による労務管理は、当然ながら、勤務時間中にしかできないものです。そのため、位置情報アプリを利用して従業員の勤務時間外の動静を使用すること、特に深夜、早朝、休日に従業員の動静を探ることは、原則としてプライバシーの侵害として違法であり、よほどの必要性がないと、適法と認められることはないと思われます(具体的事例は想定しがたいですが、当該従業員の携帯電話がつながらないためやむを得ず位置情報を把握して館内放送などの手段を講じて連絡をつけなければならない緊急事態であれば、必要性が認められて適法となるかもしれません)。
したがって、就業規則には、あくまで勤務時間内の労務管理に使用すること明記するとともに、運用に当たっても注意する必要があります。

 

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

労務管理 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。