このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
会社が従業員などから取得したマイナンバーを外部に提供するのは、税務署などの公的機関のほかには、年末調整事務や社会保険事務などを委託する税理士や社労士などに限られます。
したがって、上記の公的機関や税理士・社労士以外に対し、マイナンバーを提出する場合は、慎重に検討する必要があります。
従業員を100%子会社へ出向させる場合、親会社は当該従業員のマイナンバーを子会社に教えてもよいでしょうか?
100%子会社で利害の対立がないので良いようにも見えますが、法律上別個の人格であることから、親会社が100%子会社に出向した従業員のマイナンバーを教えることは、目的外提供(故意の漏えい)に当たるとされます。そのため、子会社は、出向してきた従業員からマイナンバーを取得する必要があります。
源泉徴収票を従業員に交付する場合にも、当該従業員のマイナンバーの記載のない源泉徴収票を交付することとなっています。源泉徴収票の書式が税務署提出用にはマイナンバーを記載する欄がありますが、従業員交付用にはありません。
年末調整事務であわただしいときに、間違いやすいかもしれませんが、注意が必要です(なお、従業員家族のマイナンバーが記載された源泉徴収票を従業員に交付した一事をもって、刑事罰や民事賠償の対象となると解するのは難かしいのではないかと個人的には思われます)