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第三者委員会は誰のためにある? 東芝の第三者委員会について
1 東芝の第三者委員会に係るNBOの記事~「第三者委の調査は『出来レース』だった」~について
日経ビジネスの2015年11月19日のオンライン記事の「スクープ 東芝、室町社長にも送られた謀議メール」の中に、第三者委の調査は「出来レース」だったという見出しがありました。
なんでも、第三者委員のM弁護士(記事では実名でした)が、東芝と関係が深い法律事務所(四大事務所の一角。記事では実名でした)のF弁護士(なぜか、ここだけ仮名でした)に対し、子会社であるウェスティングハウスの減損に係る調査をするか否かは、東芝の判断に委ねる旨の連絡をしたとのことでした。
M弁護士は、上記記事によると、ウェスティングハウスの減損を知りつつ、調査しないことにしたことになります。
善解すれば、上記の減損について、調査依頼も、調査の対価もなかったから調査できなかったということでしょう。
2 なぜM弁護士はF弁護士に連絡したのか?同じ事務所出身だから?
上記記事には、M弁護士は第三者委員会発足の2日前まで東芝の連結子会社の顧問弁護士をしていたことが書かれており、また、F弁護士の所属する大規模法律事務所も東芝と深い関係にあると書かれていました。
ただ、上記記事には、M弁護士とF弁護士との間の関係が書いておらず、なぜM弁護士がわざわざF弁護士に連絡したか、その理由がわかりませんでした。
この点については、東京の弁護士に雑談がてら聞くと、M弁護士は、F弁護士の所属する大規模法律事務所の出身とのことでした。M弁護士は、F弁護士と面識があるから単に旧交を温めるために連絡したのかもしれませんが、「第三者」から見て不透明さというか、M弁護士とF弁護士とのやり取りはどういったものだったのかなという印象を持ってしまいます。
3 第三者委員会は、誰のためにある?
第三者委員会は、究極的には株主が依頼者ではありますが、現実にはお金を払ってくれる人(経営者)の不正や任務懈怠を探すという、相反する部分がありますのでかなり難しい仕事だと思います。ある弁護士のブログには、第三者委員会の仕事を頑張ったら当該業界からの仕事がなくなった旨の記載もあり、相当の覚悟を持ってやらないといけない仕事だと思います。
しかし、東芝の第三者委員会は、ウェスティングハウスの減損問題を認識しながら、不正会計の原因解明という職務の範囲の判断を、経営者の不正や任務懈怠の解明をする第三者委員会側弁護士と会社側弁護士とが連絡を取って、結果的に会社の一機関に過ぎない経営者に委ねたということであり、結局、経営者の経営者のために第三者委員会だったとの印象を受けてしまいました。
4 投資家(株主)や債権者が注意すること
一般論として、「第三者委員会」は、一定の機能を果たしていると思いますし、日弁連の第三者委員会のガイドラインに準拠している第三者委員会は特にそうだと思います(なお、東芝の第三者委員会も上記ガイドラインに準拠しているようです)。
もっとも、投資家である株主や会社の債権者そしてステークホルダーは、第三者委員会に調査を依頼する企業の姿勢、調査範囲の設定、委員の人選などに注意を払うほか、受任側の弁護士が直近又は現在に当該企業と利害関係がなかったかなどについて注意を払わないといけないのかなと思います。
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