株主総会決議事項の登記時に株主リストの添付が必要となります

2016.5.2

1 今までの問題点

 従前の商業登記の申請では、株主リストについて添付は必要ありませんでした。
ただ、その場合には株主総会議事録を偽造して取締役や監査役に成りすますということが可能であり、本職もそのような事例に遭遇することがありました。

2 平成28年10月1日以降は株主リストの添付必要

 上記のような問題があったことから、違法行為を少しでも抑制するために、平成28年10月1日以降は、株主リストの添付が必要となります。

3 株主総会・種類株主総会の決議を要する登記事項

 株主総会・種類株主総会の決議を要する登記事項の場合には、上位10名又は上位の株主の持ち株割合が3分の2に達するまでの株主について、①氏名・名称、②住所、③株式数及び議決権数、④株主の議決権の数を証する書類の添付が必要となります。
総株主の同意を要する決議事項の場合には、株主全員について①~④に係る書面の添付が必要となります。

4 社歴が長い会社ほど要注意

 社歴が長い会社の場合には、そもそも設立時の株主が単なる名義貸しにすぎない場合もあるほか(発起人が7名必要であった商法の時代は、とりあえず名義を借りるということが多かったです)、株主について相続が発生したり、又は得意先に保有してもらっていたものの得意先が清算してしまったりということが良くあります。
また、株主名簿に記載はあるものの、連絡が取れない、所在不明となっている例もよく見受けられます。

5 今回を機に株主名簿や法人税申告書の別表二の再点検を!!

 そのため、株主名簿(又は法人税申告書の別表二)の記載と実際の株主とが、乖離している場合が多くみられます。
今回の、商業登記規則の改正を機に、株主名簿の再点検をして、実体とあっていない場合には、名簿の変更で足りるのか、名義変更について問い合わせや交渉を要するのか、又は放置で様子を見るのか(会社は株主名簿に記載された者を株主として扱えば足ります。但し、株主名簿の記載が真実と異なることについて知らず、又は知らないことに著しい不注意がないことが必要です)、どのようにしたらよいかを弁護士や税理士に相談されるとよいと思います。

6 お困りの場合には

 株主名簿の整備、再点検又は不明株主の調査をどう進めたらよいか分からないなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、http://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

 

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

会社法務全般 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。