相続時精算課税のメリット・デメリット

2016.7.20

1 相続時精算課税

 相続時精算課税は、簡単にいうと将来の相続の際の相続税の支払いを条件として贈与税とは別枠で生前の資産の移転を進める制度です。
非課税枠2500万円(超える部分については20%の税率)ということで、2500万円まで無条件で贈与できると勘違いしやすいところですが、あくまで「相続税での後払いを条件とする特種の贈与」ととらえたほうがわかりやすいかもしれません。

2 デメリット?(シミュレーションの必要性)

 通常の贈与の場合は、毎年の非課税枠として110万が認められていますが、特殊の贈与である相続時精算課税制度を適用すると、後戻りできない、つまり相続時精算課税制度での申告後は、全ての贈与が同制度の適用となります。したがって、A年に2500万円を相続時精算課税制度を利用した特殊の贈与をして、翌年のA+1年に100万円を贈与すると、非課税枠内とはならず、A+1年分の申告として20万円の税金の納付が求められます。
また、他のデメリットとしては、小規模宅地特例の適用がないというものがあり、軽減効果が大きいので、特例の適用と生前の資産の移転の得失の検討が必要です。
そのため、相続時精算課税制度を利用するか否かは、相続税を試算してどの程度軽減するか試算する必要があります。例えば贈与後の賃料は受贈者に帰属して持ち戻さなくてよいため収益不動産を贈与することがよくありますが、その場合に建物だけを贈与するなどの工夫が必要となります(ただし、土地の評価額の検討が必要ですし、負担付贈与とならないように注意が必要です)。

3 お困りの場合には

 生前からの資産の移転、相続手続をどう進めたらよいか分からないなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。