相続と贈与~得と分かっていても贈与できない?

2016.6.14

1 贈与税を払ったほうが得になる場合

 相続財産がかなり多い場合には、毎年、贈与税を支払ってでも贈与したほうが得になる場合があります。
例えば、相続財産3億円、相続人は配偶者と子2人、配偶者税額軽減を使用と言う設例の場合、相続税額は2860万円と成ります。相続税の負担率(相続税額÷相続財産)は約9.5%となります。
上記の設例で、親が子に特例贈与(1月1日時点で20歳以上の子や孫への贈与)する場合、贈与額が410万円の場合には贈与税額は35万円となり、贈与税の負担率(贈与税額÷相続財産)は約8.5%となります。
贈与して3年もしないうちに亡くならない限りは、贈与したほうが得と言えます。

2 しかし贈与は難しい

 もっとも、贈与される側としては、損得で判断したら贈与したほうが良いと分かっていても、贈与されない方が多いように思われます。
贈与側の心配としては、自身の生活費の確保もありますが、もらった側が無駄遣いしてしまうのではないかというものがあります(額に汗して働いてほしい、現金の貴重さを体感してほしいとよくおっしゃいます)。
少し贈与してみて、身を持ち崩すようであれば跡継ぎ候補から外せば良いと割り切ることができればいいのですが、やはり血がつながっているので、そこまで割り切ることは難しいようです。
もっとも、視点を変えると、同じお金(財産)を国が使うのか、子や孫が使うのかということですので、もし、生前贈与をしようか迷っている場合には、そのどちらが良いと考えられるかをはっきりさせるのが良いと思います。

3 不用意な贈与は禁物

 もっとも、生前贈与をすると決断されても、専門家に相談しながらしたほうが良いでしょう。現預金より不動産の方が良い場合もありますが、収益不動産で敷金の負担がある場合には、負担付贈与として不動産に関して路線価ではなく割高な時価で税額が計算されてしまう、現預金の場合も子や孫のどの口座に送金するかなどに配慮しないと後で税務署から否認される場合もあります。

4 お困りの場合には

 贈与を考えているが、契約書を交わした方が良いのか、子や孫のどの口座に送金したらよいかなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、http://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。