大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
マイナンバー漏えいは弁護士の守秘義務違反の8倍重い?
マイナンバー対策を怠った「ツケ」~刑事責任編
1 マイナンバー漏えいした場合のデメリット4種類
マイナンバーが漏えいした場合には、大きく、①刑事責任、②民事責任(損害賠償責任)、③行政処分と④風評被害(レピュテーションリスク)があります。会社やその従業員がわざと洩らした場合には、①~④すべての責任が発生します。他方で、管理体制不十分でうっかり漏れた場合には、②~④の責任が発生し、刑事責任は発生しません。 なお、故意か否か、わざとか否かで、責任の内容が大きく変わることに注意が必要です。
2 マイナンバー漏えいの刑事責任は、弁護士の守秘義務より8倍重い?
マイナンバーを会社の従業員がわざと洩らした場合、会社にも刑事責任、具体的には罰金刑がふりかかってきます。会社の従業員が個人マイナンバーのデータベースを丸ごと業者に売却した場合、従業員自身が4年以下の懲役もしくは200万円の罰金に処せられ、会社も従業員とは別に200万円以下の罰金となります。会社の従業員がたまたま知った個人のマイナンバーを漏らした場合(例えば、経理部員が顧問税理士のマイナンバーを業者に売却した場合)は、3年以下の懲役もしくは150万円の罰金に処せられ、会社も従業員とは別に150万円以下の罰金となります。
医師が患者の病状を漏らした場合、弁護士が依頼者から聞いた出生の秘密を洩らし場合には、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられること(刑法第134条第1項)に比べると、非常に重いことがわかります。懲役刑の上限だけで比べると、個人マイナンバーのデータベースを丸ごと売却した場合には、弁護士の守秘義務よりも8倍重いということになります。
3 あくまで「わざと」漏らした場合が刑事責任の対象
繰り返しになりますが、あくまで刑事責任を問われるのは、「故意」に漏らした場合で、過失により、例えば未知のウィルスにより会社のコンピュータから漏れてしまった場合や鍵付き書庫に保管していたマイナンバーが記載された書類が盗難にあった場合は、刑事責任は問題となりません(ただし、民事責任と行政処分は問題となります)。マイナンバーが流出したから、即、刑事責任を問われるということにはなりませんが、普段から漏えいを防ぐための地道な取り組みが必要です。
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