大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
顧客とクレーマーを分けるものとは?
1 大阪弁護士会の会報
大阪弁護士会の会報に、「教育対象暴力」という言葉を巡って、異なる委員会が言葉の是非について論考を述べられていて大変参考になりました。
それに触発されてというわけではないですが、顧問先から受けるよく質問で、「顧客の正当な抗議」と「クレーマーの不当な要求」とは、どう区別すればよいのかというものがあり、これについて本職の考えを述べたいと思います。
2 「正当な抗議」?、「不当な要求」?
顧客が商品やサービスに不満を覚えて抗議をすることは、法的に問題とはなりませんし、マーケティング的にはむしろ商品改善のための貴重な手掛かりになるとされています。
ただ、不当な要求の場合には、上記のマーケティング的視点のほかに、クレームと真正面から対峙する従業員を守る、会社の風評被害を抑えるといったダメージコントロールの視点が大事となります。
そして、「正当な抗議」か「不当な要求」かは、抽象的には法的根拠があるかないかですが、より具体的には、証拠関係についての話に乗らずに要求をし続ける・主張がコロコロ変わる(根負けを狙っている)、過度な行為・義務なき行為の要求、例えば土下座の強要や多額の金銭の支払いの要求や社長を出せと言い続ける、逆にクレームを言う対象者を特定の一人に絞ろうとする、当方に落ち度がある場合にネットへの書き込みをほのめかす、などというものがあります。
3 非があれば青天井に賠償しなければならないわけでない
もちろん、クレームを受けた側に非があり、損害賠償義務がある場合には損害を支払うべきです。
ただ「損害」が妥当な金額か否かという点は頭の隅に置いておいてもよいと思います。
攻撃を受け続けると、視野が狭くなってしまうことがあり、上記の考えに思いが至らなくなることはよく見受けられます。そのため、顧客からの要求が長期化している場合には、会社としては、情報共有し、弁護士対応も検討しながら全社的に事態に当たる必要があります。
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